私たちは生きている限り老廃物や腐敗物質が、体の中で作られてしまいます。
また、生活をしている限り、どうしても体に有害な物質を取り込んでしまいます。
これらの毒素による悪い影響を減らすために、体の外に出すのがデトックスです。
デトックスは間違った方法で行うと、効果が出なかったり、体に良くない影響を及ぼしたりする場合もあります。
ここでは誰でも簡単に取り組める安全で効果的なデトックスの方法をご紹介いたします。
デトックスが注目されるようになったきっかけ
デトックスには本来「解毒」の意味があります。1960〜1970年代のアメリカで、戦争で化学兵器によって負傷した兵士の後遺症を救うために研究が始められた医学です。
その方法を応用し、アルコール依存症や薬物依存症の患者の体内に残ってしまった薬物を減少させる医療としても使われていました。
その後、文明の発展に伴って公害が発生した事により、現代人も化学物質の悪い影響を受けていることが分かり、アメリカの政府による研究がさらに進められました。
最近になって、デトックスには体内で出来てしまう毒素も解毒できる作用があることが分かってきました。
海外セレブらがアンチエイチング法や美容法として、デトックスを取り入れるようになり、民間人にも注目されはじめました。
「体から余分なものを取り除けば健康になる」というデトックスの基礎となる考え方は世界各地に古くからありました。
文明の発展により、人を取り巻く環境が著しく変わり、昔は無かった健康疾患が現れ始めた事で、今改めてデトックスが見直されています。
デトックス=ダイエットではない!
デトックスがダイエット方法とよく間違われてしまうのは、毒素の多くが脂肪に沈着してしまうからです。
毒素が脂肪に沈着してしまうと、脂肪が変質しセルライトとなります。
デトックスをすることで脂肪の状態が改善されて燃焼されやすい形になり代謝も上がります。
これによって、脂肪が燃えやすい状態になりますが、脂肪が減るわけではありません。
あくまでもダイエットの下準備的な要素であり、デトックス=ダイエットというのは間違った知識だということを覚えておきましょう。
デトックスをするメリット
デトックスを行うことで体質が変わり、下記のような効果が期待できます。
病気ではない体調不良の解消と病気の予防
- だるい
- 疲れが取れにくい
- 冷え性
- 偏頭痛
などといった症状は誰でも一つや二つ持っているものです。
デトックスをすることで、病気まではいかないけど健康ではないといった、これらの症状の改善に繋がり、病気の予防をする事にも繋がります。
美容効果が出やすくなる
どんなダイエットを試してもあまり効果が出ない、どんなに良い基礎化粧品を使っても肌荒れが改善されないという事に心当たりはありませんか?
体に毒素が溜まっているのが原因かもしれません。
デトックスによって代謝が上がると、細胞の入れ替わりのサイクルも整うので、美容効果が出やすいと言われています。
デトックスの方法
デトックスが医療の枠を超えて一般の方々にも広まるのと同時に、専門家ではないマスコミや一般企業によって間違った認識や方法も広まってしまいました。
間違った方法の中には全く効果がない方法から、後遺症が出てしまった例もある危険な方法もあります。
デトックスの方法は様々ですが、根本的にやる事は「良いものを入れて、悪いものを出す」作業です。
いくつかあるデトックスの方法を紹介します。
1,水を毎日2リットルを目安に飲む
お金がかからず、一番簡単に取り組める方法なので筆者も取り入れています。
私の場合は、冷え性の改善、生理痛の軽減、肌荒れやくすみの軽減、などが感じられました。
下記のポイントを抑えるとより効果的です。
浄水またはミネラルウォーターを飲む
ここでいう水とは、浄水器によって有害物質を取り除いた浄水、またはミネラルウォーターの事です。
水道水はどんなに水がおいしいと言われている地域でも、水道管内のサビや藻や塩素など微量の有害物質が必ず混ざっています。
体温に近い常温で飲む
水は常温で飲む方が臓器に優しく、吸収しやすいと言われています。
体がとくに冷える冬は白湯を飲むのもオススメです。
お腹を温めると、血管がゆるみ全身に温かい血が巡ります。
水ではない飲み物を飲むときも、常温または温めて飲むと良いでしょう。
デトックスとは関係ありませんが、冷たい飲み物を控えると内臓脂肪も付きづらくなります。
朝はたくさん飲み、日中はこまめに飲む
寝てる間は、体内で疲れた箇所や傷ついた箇所の修復が行われ、その副産物として老廃物が出ます。
朝しっかりと水分を摂ることで、便通も良くなり、寝ている間に溜まった老廃物を体の外に出す事ができます。
日中こまめに飲む事で、毒素を小出しにして体に溜まらない様にすることも大切です。
最初から2リットル飲むのは難しいかもしれません。
まずは1日1リットルを目標に、トイレに行ったらコップ一杯分の水を飲む習慣をつける事から始めてみましょう。
冬は入浴する
夏は汗をかきやすいので意識せずとも水分を摂取できますが、冬は汗をかきづらいので、代謝が落ちて自然と水分の摂取量が減ってしまう傾向があります。
水分を摂りやすくするために、冬は軽く汗をかくくらい入浴をするのがオススメです。
入浴には、
- 滞りやすい下半身の血流が良くなる
- 風邪を引きづらくなる
という効果もあり、一石三鳥です。
岩盤浴やサウナももちろん良いですが、できれば入浴するのが良いでしょう。
ミネラルを補給しましょう!
水を飲むと代謝が上がり、毒素や老廃物を体の外に運んでくれますが、その過程でミネラルも少しずつ失われます。
ミネラルが足りなくなると、忘れっぽくなったり、筋肉をつりやすくなったり、イライラしたりします。
入れたら出して、出したら入れるのが代謝です。必要なものを失ったら、補充しましょう。
低ナトリウム血症に注意!
過去にイギリスで、栄養士のアドバイスで水ダイエットをした女性が脳に後遺症を負ってしまうという事件がありました。
この女性は栄養士から「毎日2.4リットルの水を飲み、塩分を控えるように」と言われ忠実に実行していていたそうです。
塩分を控えてしまった事で、神経伝達に必要なナトリウムが足りなくなってしまい、低ナトリウム血症を引き起こしてしまったからです。
塩分を控えていなくても、腎臓が処理しきれない量の水を大量に飲むと水を飲むと急性の低ナトリウム血症になる危険性があります。食事を控えて、水だけ飲む事を長期的に続けるのは、危険なのでやめましょう。
水を飲むのはあくまでもデトックスの為であり、ダイエットとは混同しないようにしましょう。
食物繊維を摂る
体内で作られる毒素の中で一番有害なのが細菌が食べ物を分解する時に出る腐敗物質です。
腐敗物質は放っておくと体内に吸収され、大腸がんをはじめとする様々な病気の原因となります。
便秘の方は特に危険です。
早急に体質を改善しましょう。
食物繊維にはこの腐敗物質を含む様々な有害物質を体の外に出してくれるという働きがあります。
食物繊維には水溶性の不溶性の2種類があり、別々の働きをします。
水溶性食物繊維
水分を含むとゼリー状になり、腸内の汚れや毒素を包み込んで無毒化し、排出してくれます。
ストレス性の便秘には水溶性の食物繊維が良いと言われています。
海藻、さといも、きのこ類、こんにゃく、熟した果実などに多く含まれています。
不溶性食物繊維
水分を含むと、ふくらんで腸を刺激し便意を促します。
また、腸の内側の凹凸面に詰まった汚れをかきだしてくれます。食が細くなってから便秘になりがちな人は不溶性食物繊維をたくさん摂ると良いと言われています。
ごぼう、さつまいも、大麦、豆類などに多く含まれています。
解毒作用のある栄養素をとる
体内で作られてしまう活性酸素を解毒してくれるビタミンC・E、βカロテン、解毒作用の強いフィトケミカルがこれに当たります。
これらの栄養素を豊富に含む食品をご紹介します。
野菜はいわゆるオーガニックと言われる有機無農薬栽培のもの、肉類は汚染されていない地域で飼育されたものを摂るのがベストです。
しかし、現代の日本で農薬やダイオキシンを全く摂らない様にするというのは、とても難しいのが事実です。
野菜は流水でよく洗ったり、軽く下茹でしたり等して、農薬をできるだけ取り除きましょう。
肉類は質の良いものを選ぶなどして、できるだけ毒素を体に摂り入れないようにしましょう。
緑茶・抹茶
緑茶や抹茶の緑色には、カテキンというフィトケミカルが含まれています。
カテキンは高い抗酸化力の他に、毒素を無毒化する解毒作用も持ち合わせています。
緑茶や抹茶にはビタミンCも含まれています。
ただしお茶には、トイレが近くなる利尿作用があります。
体の中の毒素が尿に溶け出す前に水分が出ていってしまうので、水ほどのデトックス効果はありません。
お茶とは別に「水2リットル」を飲むようにしましょう。
ブロッコリー
ビタミンCやフィトケミカルを豊富に含みます。
デトックス効果の高い野菜の中で、最も手軽に食べられる野菜の一つです。
ブロッコリーほど手軽ではありませんが、モロヘイヤも解毒効果の高い野菜です。
薬味になる野菜
ネギ類・生姜・ニンニク・わさび・唐辛子などがこれに当たります。
薬味になる野菜の臭いや辛味の成分もまた解毒作用の高いフィトケミカルの一種です。
食事にも取り入れやすいので積極的に摂りましょう。
有害物質を含む食品を避ける
できるだけ有害物質を体に摂り入れないようにする事も大切です。
こちらでは食べない方が良いと言われている食品をご紹介します。
肉の脂、鶏皮
有害物質が皮膚に近い脂肪部分に溜まりやすいというのは、人間も動物も同じです。
脂身の部分は出来るだけ避けましょう。
加工食品、賞味期限が長い食品
加工食品には、様々な添加物が含まれています。食感を良くしたり、日持ちさせるためです。
添加物の中でも健康に害を及ぼしやすいのがリンです。
リン系の添加物は、肉の食感を良くする効果があるので、ほとんどの肉加工品に含まれています。
リンは体に必要な栄養素ですが、過剰に摂取してしまう傾向にあります。
リンを摂り過ぎると栄養バランスが崩れて、カルシウムやマグネシウムが不足します。
これにより、イライラしたり、気持ちをコントロールできないといった症状が出てきてしまいます。
リンの他にも合成添加物は沢山あり、一度体に入ると中々体の外に出ていかないものもあります。
加工品は便利ですが、程々にしましょう。
塩分と糖分の取り過ぎに気をつける
塩分も糖分も体にとって必要なものですが、摂りすぎる事で毒素となります。
摂り過ぎに気をつけなくてはならない栄養素は他にもあありますが、特に塩分と糖分は、摂り過ぎると食品添加物よりも体に悪いと言われています。
塩分
塩分を摂りすぎると、体の塩分濃度を薄める為に体に水が溜まってしまいます。
体に水が溜まると、老廃物や毒素が排出されない上に、血圧も上がります。
この状態が続くと様々な病気の原因になり、とても危険です。
塩分を摂り過ぎた時は、水を沢山飲んで体内の塩分濃度を調節しましょう。
バナナやみかんやマンゴー等のフルーツを摂るのも良いです。
これらのフルーツに含まれるカリウムには体内の塩分を調節する作用があります。
塩分を摂りすぎないお料理のコツ
味は食材の表面から感じる物なので、カレーや煮物は材料を大きく切ると少ない調味料でも味がしっかりと感じられます。
材料を大きく切ると噛む回数が増えるので、食事の満足感が得られ食べ過ぎの防止にも繋がります。
揚げ物の場合は、下味を薄めにつけて食べる時に調味料を付けた方が、塩分を抑えられます。
食べる時につける醤油やソースは上からかけずに別皿に出して付ける様にする事で、摂りすぎを防げます。
また、酢を使った料理は少ない塩分でも味がしっかりするので、酢豚や酢の物もオススメです。
糖分
糖分は主に脳や筋肉を使った時に使われます。
摂りすぎると脂肪に変換されて体に蓄えられてしまうため、体に脂肪と一緒に毒素が溜まりやすくなります。
また、糖分を過剰に摂りすぎると、糖が酸化する糖化という現象が起こります。
糖化が起きると細胞が錆びる為、肌が茶色がかり、臓器の働きも悪くなります。
糖分を摂りすぎないコツ
プリンやケーキ等のデザートやジュースなど、それ自体に砂糖を混ぜ込んである食品はNGです。
想像以上に糖分が高いのでできるだけ控えた方がいいでしょう。特に炭酸飲料や缶コーヒーはできるだけ控えて、たまに飲む程度にしましょう。
同じ糖類でも、果物の甘みである果糖は吸収が緩やかなので、甘いものが食べたくなったら果物を食べると良いでしょう。
糖分が低いデザートでオススメなのはくず餅です。
くず餅自体は糖分が少ないですが、上にかける黒蜜で確りと甘みを楽しめます。
どうしても普通のデザートが食べたくなったら、甘いものを食べる前に、食物繊維を沢山摂りましょう。
食物繊維が糖分の吸収を抑えてくれます。
デトックス用品の効果は本当?
デトックスを謳った商品の中には、科学的根拠も効果も全く無い物があります。
デトックスが注目され始めた当初はこういった商品が数多く出まわっていたそうです。
中にはそうでないものもあるでしょうが、慎重に検討した方がいいでしょう。
何か取り入れるよりも、普段の生活から改善できる事の方が多く効果も高いかと思います。
体質の改善は一朝一夕にして出来るものではないので、毎日の積み重ねを大切にしましょう。
まとめ
デトックスの方法は他にも色々とありますが、お金と時間があまり掛からない、かつ、効果の高い方法だけをご紹介させて頂きました。
普段の生活から出来ることばかりなので、ぜひ取り入れて見て下さい。
体質の変化を実感し始めると、楽しみながら続けられるかと思います。