寝ている間に突然襲ってくる「こむら返り」あまりの激痛のため、一度経験すると不安で眠れなくなる場合もあります。
今回は、こむら返りが起こるメカニズムと予防法。さらに、起きてしまった時の対処方法について、ご紹介いたします。
目次
こむら返りとは?
こむら返りとは、突然ふくらはぎの筋肉が突って、激痛がはしる症状のことを言います。特に寝ている間に多く発症し、激痛で目が醒めてしまうことも多いようです。
痛みが持続する時間は、個人差がありますが、数秒から数分間続きます。
また、1回で終わることもあれば、一旦治まった後に、何度も繰り返すという場合もあります。
一度この激痛を経験すると、痛みのぶり返しが不安で、眠れなくなる方も多いようです。
ふだんは、筋肉の収縮や弛緩は、大脳にある運動中枢神経系が、調節しています。
しかし、何らかの原因でこれがうまくいかず、ふくらはぎにある「腓腹筋」という筋肉の、収縮を抑える働きが低下することで、こむら返りが起こると考えられています。
こむら返りが起きてしまった時の対処法
寝ている間に、突然起きてしまうことの多い、こむら返りです。
眠いまま対処するのはとてもツライことですが、とにかく「立ち上がる」のが、緊急の対処法と言われています。
こむら返りは、ふくらはぎの「腓腹筋」という筋肉の収縮で起きることは、先にお伝えしました。
寝ている間は、足のつま先が伸びた格好になり、腓腹筋が収縮しやすい体制になることが多いです。
さらに、その上に重い布団で押さえつけることで、こむら返りが発症しやすい状況ができてしまいます。
対処法については、「立ち上がる」という行為で、この腓腹筋を伸ばすことができます。
そして、足を後ろに引き、アキレス腱を伸ばすような姿勢をとると、さらに効果が高まります。
こむら返りを解消するコツは、「アキレス腱を伸ばすことに意識をむける」事のようです。
筆者の家族も、最近こむら返りが頻繁に起こっていたのですが、寝る前にアキレス腱を伸ばす運動をしたところ、ピタリと起こらなくなりました。
その運動とは、足の指先を顔の方に近づけ、かかとを遠くに伸ばす運動です。
また、両足を曲げて、横向きで寝る事も、こむら返り予防に効果がありました。悩んでいる方は、是非ためしていただけたらと、思います。
こむら返りの原因とそれぞれの予防法
マグネシウム不足
マグネシウムは、筋肉を緩める働きがあります。
マグネシウムが不足することで、この働きがうまくいかず、こむら返りの原因となる可能性があります。
お酒を飲みすぎた日の、就寝中に足がつる、という経験をした方も多いのではないでしょうか?
お酒は、こむら返りとは何の関係もないように見えますが、実は深いかかわりがあるのです。
お酒を飲むと、夜中にのどが乾いて目が覚めることもあります。
人の体は、アルコールを分解し、排泄しようとします。
その時、水分とともに、体にあるマグネシウムやカリウムなどのミネラルも、一緒に排泄してしまい、結果的にはマグネシウム不足になってしまうのです。
人の体に必要なマグネシウムの量は、ほんのわずかですが、現代人には不足しがちなミネラルです。
マグネシウムが不足することで、さまざまな不調がでてくると、言われています。
かと言って一気に大量に摂取しても、うまく体に取り込むことができない難しい成分なので、日頃から意識してコンスタントに摂るのがコツです。
また、マグネシウムを摂取する時に、同時に摂りたいのがカルシウムです。
マグネシウム1に対して、カルシウムが2必要、つまりマグネシウムに対して、カルシウムは倍の摂取が必要ということになります。
この比率が崩れると、骨に蓄えているカルシウムが溶け出して、骨粗鬆症のリスクが高くなってしまいます。
ふだんから、カルシウムの摂取を心がけながら、マグネシウムを摂ることがコツのようです。
マグネシウムやカルシウムの多い食べ物
いわし・さばなどの魚
ひじき・こんぶ・わかめなどの海藻類
サプリメント
マグネシウムのサプリメントの場合、種類によって体質に合わない場合があります。
合わない場合は腹痛や下痢を起こすことがあります。まず少量から試してみましょう。
または、サプリメントを扱うクリニックで良質なものを処方してもらいましょう。
エプソムソルト風呂
上記のように、マグネシウムは、サプリメントで摂るのが、なかなか難しい成分です。
そこで、最近注目されているのが、エプソムソルトです。
エプソムソルトとは、硫酸マグネシウム(MgSO4)と言われるマグネシウムで、海水にも含まれているミネラル成分です。
英国では何百年も前から使われているバスソルトです。
エプソムソルト風呂に入ることで、マグネシウムを皮膚の表面から経皮吸収することが期待できます。
また、血行促進やデトックス効果、代謝を上げるダイエット効果や筋肉痛などの炎症を抑える効果など、さまざまな効果があります。
筆者も愛用していますが、疲れが取れて、良く眠れるのが実感できます。
冷え
冷え症の方は、足が冷えることが多いです。
足が冷えると、筋肉が収縮して緊張状態になり、つま先をのばした姿勢で寝ることで、ロックがかかってしまい、こむら返りの原因になることもあると、言われています。
冷え症を改善することは、なかなか容易なことではないですが、寝る前に、ぬるめのお風呂にゆっくり入って、冷えないうちに寝るなど、いろいろ対策を立ててみると良いでしょう。
温め効果のあるマッサージクリームで、ふくらはぎをマッサージしたり、レッグウォーマーを履いて寝るのも効果的です。
運動中に起こる
運動中に起こるこむら返りもあります。筋肉は、ナトリウムイオンとカリウムイオンがあり、それらの作用により動かすことができます。
この2つのイオンは、運動するほど消費をし、疲労物質として筋肉に溜まってしまいます。
そしてイオンが供給されなくなると、筋肉の以上収縮がおこり、こむら返りになってしまうのです。
これに、運動による脱水症状がプラスされ、イオンの巡りが悪くなるとともに、マグネシウムが不足し、発症の確率が高くなります。
特に、水泳中は冷えに加え、水中ではつま先を伸ばす姿勢も重なり、発症のリスクがさらに高まっています。
水泳中のこむら返りは、大きな事故につながる可能性もありますので、充分注意しましょう。
運動中の発症を防ぐためには、充分な準備運動とスポーツドリンクなどで、水分と、電解質を補給しましょう。
糖尿病
糖尿病は、男女ともに50歳以上で急増すると言われています。
そして、こむら返りを起こしやすい病気と言うことで、真っ先に糖尿病が挙げられる病気です。
心配があれば、早めに血糖値の検査をしてみることをおすすめします。
甲状腺の病気
甲状腺の病気は、女性に多い病気です。
甲状腺の病気もまた、こむら返りを起こしやすいと言われています。心当たりのある方は、気をつけましょう。
まとめ
こむら返りを経験したことのある方は、その激しい痛みを忘れることはないでしょう。
症状が悪化してくると、一度のこむら返りで、3日間くらいまともに歩けなくなる場合もあるそうです。いつ襲われるかわからない痛みから、相当なストレスを抱えている方も少なくありません。
しかし、ふだんからの予防と、寝方の工夫で、発症する状況を回避することは可能です。また、発症してしまった時の対処法は、「アキレス腱を伸ばすことを意識する」と頭に置いておくだけでも、これからは、安心して眠れるのではないでしょうか?