腸内環境が良いと、美肌が作られ、心も元気になれることが最近話題になっています
。今回は腸内環境を改善するための3つのステップを紹介します。
目次
腸の働きとは?
腸は身体に必要な栄養を消化、吸収し、不必要なものを排泄させる通り道の役割があります。
逆に細菌やウイルスなど、身体に害となるものは通さないように、防御する働きもあります。
ご存知の方も多いと思いますが、腸はさまざまな情報を受け取る神経細胞が集まっていて、「第2の脳」と言われています。
最近では美と健康にも重要な働きをする臓器として、その働きが注目されています。
腸の状態が悪いと起こる症状
- 腹痛
- 腹部膨満感
- 鼓腸
- 便秘や下痢
これらはお腹に限定した症状なので、腸の状態が悪いという察しがつくでしょう。
しかし腸の状態の悪さは、腸にとどまることなく、身体のさまざまな部分の症状と、深く関係があります。
- 蕁麻疹
- アトピー
- 全身のさまざまな炎症による疾患
- 遅延型アレルギー
- メンタル系の疾患
これらの症状も、腸が関係して起こる可能性があると言われています。
では、なぜ腸の状態が悪いと、腸以外にも全身のさまざまな部分に症状が出てしまうのでしょうか?
口から入ってきた食べ物は胃で消化されます。
そして、小腸でさらに消化、吸収され、体内に必要な栄養素が取り込まれ、大腸で水分が吸収されます。
この時、同時に腸は、有害な物質を身体に取り込まれないように排除する働きもしています。
この働きがしっかり行なわれていると、全身のさまざまな症状にはつながりません。
しかし、腸壁が薄くなり、腸壁にある無数の穴が広がって大きくなってしまうことで、本来なら通らない毒素が、穴から全身に漏れてしまい、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
この状態は「リーキーガット症候群」と呼ばれ、最近話題になってきています。
リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)って何?
Leaky=漏れがある
Gut=消化管(この場合、腸を指します)
Syndrome=症候群
「腸が漏れている状態」ということになります。
リーキーガットは、腸壁の粘膜が傷ついて薄くなり、腸管壁の穴が大きく広がり、その穴から、腸内の細菌、有害物質、未消化の食べ物などが漏れ出してしまうのです。
また、腸管には全身の70%の免疫細胞が集中して入ると言われています。リーキーガットの状態では、腸壁の免疫機能も壊された状態になるので、
- 遅延型の食物アレルギー
- 花粉症
- アトピー性皮膚炎・
- 蕁麻疹
- 喘息発達障害
などが起きてしまう場合があります。
では、なぜこのように腸は、リーキーガットの状態になってしまうのでしょう?
カンジダ菌
ご存知の通り、腸内には善玉菌と悪玉菌がいます。
そしてもう一つのグループとして日和見菌がいます。
日和見菌は、その時々により、善玉菌が多ければ、善玉菌の味方につき、悪玉菌が多ければ悪玉菌の味方につきます。
カンジダ菌は、身体の中のいたるところに住み着いて入る常在菌の一種です。
健康な状態の時は、特に問題にはなりません。
腸内では、日和見菌として存在しています。
腸内でも善玉菌が多い時は、カンジダは特に問題を起こしませんが、ひとたび悪玉菌が優勢な状態になると、どんどん増え続けます。
そして小腸の上の方まで上がってくると、SIBO(Small Intestine Bacterial Overgrowth) 過敏性腸症候群の症状が発症する可能性があると言われています。
また、増えたカンジダ菌は、腸管の中へどんどん潜り込みます。
これを退治しようと免疫機能が働き、この戦いで傷ついた腸壁は薄くなり、穴が大きくなってしまいます。
これがリーキーガットになる原因とされています。
逆に言うと、腸内細菌が整った状態であれば、リーキーガットにはなりません。
このように、リーキーガットとカンジダ菌は切っても切れない関係があると言われています。
カンジダ菌を増やさないためには?
では、カンジダ菌を腸内で増やさないためにはどうしたら良いのでしょうか?
それはまず第一に、カンジダ菌を増やす食べ物を食べないようにすることです。
<カンジダ菌を増やす食べ物>
- グルテン
- 乳製品
- 糖
- 抗生剤
- アルコール
- カフェイン
- 果物
- 豚肉
- 食品添加物
大まかには、このような食品を摂りすぎないようにすることです。
*クリニックで行う治療では、除菌に入る前の数ヶ月間、全くこのような食品を摂取しない根本治療が行われる場合もあります
グルテン
小麦のグルテンはカンジダ菌に傷つけられた腸壁をさらに傷つけます。
また「グルテオモルフィン」と言うモルフィネ用化合物が含まれています。
これが脳内のモルフィネ受容体と結合して多幸感を与えるため「もっともっと食べたい」という麻薬のような働きをしてしまいます。
過剰摂取すると、身体がだるい、頭がぼーっとするなどの症状が出てきます。
乳製品
乳製品に含まれるカゼインにもモルヒネ効果のある「カゾモルフィン」という物質があり、やはり中毒性があります。
一般的にはヨーグルトの乳酸菌はお腹に良いと言われているため、ヨーグルトを積極的に食べている人もいますが、腸に炎症がある人が食べ続けると、カゼインの作用により逆効果になってしまいます。
糖
糖はカンジダのエサになるため、どんどん増殖させてしまいます。
オリゴ糖や蜂蜜がお腹の調子を整えると言われていますが、カンジダをコントロールしている期間は、オリゴ糖や蜂蜜も摂らない方が良いとされています。
抗生剤
抗生剤は、腸内に住む良い菌も殺してしまいます。
それによって腸内の菌のバランスが崩れると、一気にカンジダが増えます。
アルコール
腸を刺激し、傷ついた腸にダメージを与えてしまいます。
また、免疫力にストレスを与えます
カフェイン
アルコール同様、腸にダメージを与えてしまいます。
また、血糖値を上昇させ、カンジダ菌を増殖させます。
果物
果物に含まれる果糖、オリゴ糖などの糖分がカンジダ菌のエサになります。
豚肉
豚肉の細胞には加熱に耐えるレトロウイルスが含まれていて、傷ついて弱った腸に悪影響を与えます。
食品添加物
- 人工甘味料
- デキストロース
- 硝酸塩
- 硫酸塩その他
全てにおける添加物は腸に悪影響を及ぼします。
ダイオフに気をつける
カンジダ菌を減らそうとして、いきなりこれらの食品を絶ってしまうと、頭痛、倦怠感などの、かなり辛い症状が出ることがあります。
この症状は「ダイオフ」と呼ばれています。
自分で取り組む場合は、身体の反応を見ながら徐々に減らしていくか、専門のクリニックで医師の指示に従いながら行うのが良いでしょう。
カンジダ菌を減らす効果的な食べ物
- ココナツオイル
- 野菜(根菜類などを除く)
- キムチやザワークラウト
- 日本古来の漬物
- イワシ、サンマ、サバ
- 十割そば
ココナツオイルは体内の炎症を抑えてくれます。また、カンジダ菌を除菌する働きがあります。
キムチやザワークラウトには、腸内のカンジダ菌を死滅させる働きがあります。
根菜類を除く野菜を食べ、パンをご飯に切り替え、腸の粘膜を修復するオメガ3系の不飽和脂肪酸が含まれている
- イワシ
- サンマ
- サバ
を食べる、日本古来の漬物には、「酪酸菌」という広範囲に効果的な菌が豊富に含まれているので、腸の働きを活発にしてくれるといわれています。
十割そばでタンパク質を摂取するのも良いでしょう。
本来の日本人の食生活に戻ることで、腸の健康を保てるようです。
リーキーガットとメンタルの関係
セロトニンは精神的な安定をもたらす「幸せホルモン」としても有名ですね。
このセロトニンは腸で80%作られるといわれています。
しかし、腸内にカンジダ菌が増えてリーキーガットが起こると、セロトニンの材料となるタンパク質の吸収が阻害され、十分なセロトニンが生産されなくなります。
これが原因で鬱傾向になり、さらにメラトニンも不足するので、不眠に陥ってしまう可能性があります。
これが「脳腸相関」の関係で、腸が「第2の脳」と呼ばれる所以です。
腸内環境を整える3つのステップ
腸が不健康だと身体の中では何が起こっているのか?または腸を整えるには何が必要なのか?を紹介してきました。
これらを踏まえて、腸内環境を整えるにはどのようにしたら良いのか、3つの順番を紹介します。
1カンジダ菌を増やす食べ物を控える
まず初めに、上記したカンジダ菌を増やす食べ物を控えるようにします。
この時の注意点は、急激に減らすとダイオフが起きる可能性があります。
反応を確認しながら、少しずつ進めていきましよう。
2効果的な食べ物に切り替える
1をある程度行ってみてダイオフがなければ、上記したような日本古来の食べ物に切り替え、キッチンの油をココナツオイルに変えるなどの工夫をすると良いでしょう。(サラダオイルなどのオメガ6の摂り過ぎは、腸に炎症を起こさせてしまいます)
3ストレスを解放する工夫をする
ストレスは、瞬く間に腸の炎症を起こしてしまいます。せっかく腸が整ってきてもストレスで後戻りしてしまうことも考えられます。
1と2のステップで、ある程度、腸が整ったら、ストレスを解放するために、興味のあることを初めてみるのも良いでしょう。
「脳腸相関」のことは前にも書きましたが、脳と腸は密接なつながりがあります。
腸の状態が悪いのに、ストレスを解放しようとがんばっても、辛すぎるだけで、うまくいかないこともあるでしょう。
私たちの身体は食べた物で作られています。初めに食べる物を変えることで、心の変化も期待できます。
ある程度腸内環境が整うとストレス耐性も強くなるといわれています。
そこで、ストレスを解放するための新しい趣味や運動を始めることで、さらに効果が期待できるでしょう。
まとめ
腸には、様々な種類の細菌が住んでいます。手相と同様に「腸相」という言葉があるように、腸の性質も千差万別です。
残念ながら「ヨーグルトを食べれば腸が健康になる」という単純な話ではないのです。それぞれの腸相に合わせた改善法をしなければ効果がありません。
それには自分の身体の反応を感じる力も必要になります。
最近では、多くの西洋医学の医師が、腸内環境に注目しており、代替医療などのホリスティック医療も取り入れて、西洋医学と融合させた治療を行うクリニックも増えてきています。
このようなクリニックの治療では、食事療法に加え、カンジダ除菌のための抗菌薬やドクターズサプリメント、メディカルハーブといった物を処方しながら、検査結果を元に、数ヶ月かけて改善していく治療が行われています。
もし日常生活に支障をきたすほどの身体や心の不調があるのなら、クリニックを訪れてみるのも良いでしょう。