優れた抗酸化作用を持つと言われているフィトケミカルは、老化現象の防止と深く関わっています。
抗酸化力とは何か、どのように摂取するのか望ましいのかをひもといて説明していきましょう。
目次
フィトケミカルとは?
フィトケミカルとは、またの名をファイトケミカルともいい、野菜、果物、海藻など、ありとあらゆる植物に含まれている、いわゆる「色素・匂い・苦味・辛味」を作るビタミンやミネラルとは別の栄養素です。
その高い抗酸化作用から健康促進やアンチエイジングに期待できるとして今もっとも注目されている栄養素でもあります。
そして、フィトケミカルは植物が自ら作り出す植物由来の化学物質であり、様々な食品に含まれている、実はとても身近な栄養素なのです。
例えば、抹茶に入っているカテキン、赤ワインに入っているアントシアニンなどのポリフェノール、トマトに入っているリコピンなどです。
これらは、実はフィトケミカルの一種であり、どなたでも聞いたことがある名前があるのではないでしょうか。
植物が自らを守る為に作られる成分
なぜ色素や匂いや味の成分に抗酸化作用があるのでしょうか?
植物はどんな環境下でも動くことができないので、強い紫外線にさらされたり、風雨にさらされたり、害虫に襲われたりと、厳しい環境のなかで育ちます。
そこで自らの身を外の環境から守るために、色素や匂い、辛味・苦味となる成分を作り出します。
この成分がフィトケミカルです。植物の色が濃く、匂いや味が鮮やかでクセがあるものほど多く含まれています。
意識せずに必要量を摂取するのは難しい
フィトケミカルは私達が普段食べている野菜にも含まれているので、野菜や果物を食べればいいのはもちろんですが、無作為にたくさん野菜を食べたとしても必要量がとれるわけではありません。それは野菜の種類や採れる時期や状態によって含有量が異なるからです。
フィトケミカルは食べられるところに多く含まれているものもありますが、中には皮や種などの料理するときに捨てられてしまう部分に多く含まれているものもあります。
その為、アンチエイジングや病気予防のための必要量をバランス良く通常の食事から摂るのは難しいという事実もあります。
どの野菜に多く含まれているのかを知り、普段から意識的に取り入れていけるようにしていくのが望ましいです。
また、年齢を重ねるにつれ食が細くなることから、最先端医療の現場ではサプリメントで摂取するのが望ましいという専門家の方もいます。
なぜ老化するのか、老化のしくみと原因
人間は生きていくために酸素が必要なので呼吸をして酸素を取り入れますが、体内に取り入れて余ってしまった酸素は、活性酸素となり細胞に傷をつけてしまいます。
そしてこの活性酸素は、喫煙・飲酒・ストレス・過度な運動など体に負担がかかる事によってより多く発生し、よりたくさん細胞を傷つけてしまいます。
細胞は新しく作り替えられていきますが、一度付いてしまった活性酸素による傷あとはその後の細胞の入れ替わりにも影響をおよぼします。
加齢にともなって、新しくできた細胞にも傷あとが残りやすくなってしまうのです。細胞が入れ替わり続けるのに老化していってしまう仕組みはこうして起こっていて、これが「体が錆びる」という、いわゆる老化現象です。
抗酸化作用とは?活性酸素を吸収する力
フィトケミカルは非常に活性酸素を吸収しやすいという性質があるため、細胞が傷つけられる前に活性酸素と結びつき体が錆びるのを防いでくれます。
また、フィトケミカルの中には優れた解毒作用をもつものもあり、活性酸素だけでなく、体に入ってきた毒素の解毒やウィルスに対しても働きかけます。
長期的に必要量を摂り続けることで、個人差はありますが、細胞が少しずつ正常な状態に戻っていくことも分かってきています。
もちろん体の内側から改善されていくので、美肌だけでなく、骨や内臓や血管など体全体のアンチエイジングが期待できます。
人は残念ながら自らフィトケミカルを作り出すことが出来ません。
ですが、フィトケミカルを摂る事で植物が自らを守るのと同様の抗酸化作用を体内に取り込むことができるのです。
ビタミンやミネラルを助ける働き
フィトケミカルはその抗酸化力で、同じく抗酸化作用をもつビタミンであるビタミンA・C・Eの働きを助けるという働きもします。
例えば美容のためにサプリメントを飲んでいたとしても、私達の意思とは関係なく生命維持していくことに優先的に使われるので、弱っていたり疲れていたりすると、どうしても体の修復や体力の回復にビタミンが使われてしまいます。
しかし、フィトケミカルを積極的に体に取り入れることで、病気と闘ったり、体力の回復をしたりすることに使われてしまっていたビタミンやミネラルが、体の末端である表面部分にも行き渡りやすくなり、結果として体内の健康はもとより、肌や髪が美しくなる事も期待できます。
またビタミンA・C・Eは、心と体の健康・美容にとても関わりの強いビタミンでもあるので、これらがより有効に使われる様になることで心も体もより健康で美しくなることを期待できるのも嬉しいところです。
フィトケミカルを多く含む食品とその選び方
野菜は常に品種改良が進められています。
より美味しく食べられるように昔よりも柔らかく甘く渋みが少なくなるように品種改良を重ねられたものは、数十年前と比べるとフィトケミカルの量が20〜50%低下しているものもあります。
しかし、高リコピントマトのように、より健康の事を考えて、栄養価が高くなるように品種改良をされているものもあります。
普段の食事からフィトケミカルを摂取するのであれば、野菜の選び方はとても重要です。
またフィトケミカルは植物が自分自身を守るために作るものです。カンカン照りの日光にさらされたり、極寒でも凍らずに生き延び、また外敵や害虫が多い環境にいながらも食べられずに成長し続けるなど、厳しい環境を生き抜いてきた植物ほど多く含まれます。
技術の進歩で年中様々な野菜を食べられるようになりましたが、これをふまえると出来るだけ自然に近い状態で農薬を使わずに育ったオーガニック野菜が手に入るのであれば一番良いです。
また、季節や状態によっても含有量が異なるので、いわゆるその季節の「旬」の野菜を摂るのも、とても良いです。
- 緑色の野菜 ブロッコリー、オクラ、抹茶、ケール、モロヘイヤ、ほうれん草など
- 赤・黄色の野菜 トマト、とうもろこし、かぼちゃ、唐辛子など
- 白い葉野菜 キャベツ、セロリなど
- 香りの強い野菜 玉ねぎ、生姜、しそ、ハーブ類、根菜類など
- くだもの ベリー類、ぶどうの皮、りんご、柑橘類、バナナ、キウイ、スイカなど
- 豆・種子類 大豆、黒豆、ごま、コーヒーなど
- 菌 類 まいたけ、なめこなどのきのこ類など
身近にあるものも多いのでフィトケミカルの多い野菜を意識的に食べていきましょう。また、バランス良く食べることで体内での働きがアップします。
まとめ
フィトケミカルを継続的に取り入れていくことで体調不良や疲れやすさが減り、体のストレスが減ることで、心も体も健康になっていく事が期待できます。
風邪で寝込んでしまったり、たまった疲れを取るために寝て終わってしまう休日を有効に使えるようになり、充実した時間が増えると嬉しいものです。
意識してフィトケミカルを食生活の中に取り入れ、心も体も美しく充実した生活を送りましょう!