ビタミンEは若返りのビタミンともいわれ、血管や細胞を健康に保つために欠かせない栄養素です。
血管を健康に保つことは、生活習慣病の予防にもなります。
また、栄養が体のすみずみまで行き渡るようになるので、健康的な肌も手に入れることができます。
積極的に摂っていきたいビタミンEですが、どのように摂っていくのが良いのでしょうか。
ビタミンEの体の中での役割と効果的な取り方を知って食生活に活かしていきましょう。
目次
ビタミンEのはたらき
ビタミンの中には人間が体内で作れないものがあります。
ビタミンA・C・Eです。このうちのひとつであるビタミンEは不足しないように毎日摂る必要があります。
ビタミンEは油に溶けやすいという性質をもつ脂溶性ビタミンで、体の中の脂質の健康に大きな関わりがあります。
脂質がさびない様にする働き
「さびる」という現象は体の中でできた不要な活性酸素が細胞を傷つけ、老化させる現象です。
ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、体の中の脂質がさびないように働きかける力があります。
血管の中をきれいにする働き
脂質はさびていない状態ではサラサラしていますが、さびるとドロドロになります。
料理で使うナベにこびりついた真っ黒な油をイメージして頂けるとわかりやすいかと思います。
このドロドロになった脂質は血管の内側にこびりついて、血管の働きを低下させます。
ビタミンEはこのさびた脂質をさらさらの状態に戻し血管の中をきれいにしてくれる働きがあります。
ビタミンEが不足するとどうなる?
ビタミンEは血管や細胞の健康に直接関わるビタミンです。
不足すると体の内側にも表面にも不調が出てきます。
シミができやすくなる
シミにはいくつか種類があり原因は様々ですが、脂肪細胞がさびついて変質することでできてしまうタイプのシミはビタミンEの不足が原因です。
茶色っぽくて少し盛り上がっているのが特徴です。
血行不良による冷え性
ビタミンEが不足すると血管の中が汚れて毛細血管がつまり血流が悪くなります。
この状態が長くつづくと毛細血管が少なくなり血液が末端まで行きわたらなくなります。
「体温を保つ」という機能も低下してしまうのです。
冷え性を治したいという方は、ビタミンEを継続的にとり入れつつ、ウォーキングなど体が軽く温まるていどの運動をしましょう。
運動によって毛細血管を再生させることができます。
低体温・血行不良による偏頭痛
脳に十分な血液がめぐらず、脳がストレスを感じることで偏頭痛がおこります。
偏頭痛を持っている方の多くは基礎体温(平熱)が低いという傾向があります。
大半の偏頭痛は血行不良と低体温によっておこるため、頭痛の2大要因といえます。冷え性の人が偏頭痛も持っていると言うのはめずらしい話ではありません。
ただし、病気が原因で頭痛になることもあります。頭痛が慢性的につづく場合は、安易に自己判断せずに専門医の診察をうけましょう。
セルライト(デコボコとした脂肪)ができやすくなる
血管には要らないものを体の外に運ぶという働きもあります。
この働きが悪くなると、体の中に毒素がたまり体がむくみやすくなります。
この「むくみ」は脂肪細胞を少しずつ変質させ、やがてセルライトに変えてしまいます。
一度セルライトができてしまうとなかなか落ちません。セルライトはエネルギーに変換しづらいからです。
手荒れや肌荒れ
ビタミンEが不足し血流が悪くなるということは体の末端まで栄養が行き渡らなくなるということです。
特に荒れるのが手と顔です。
手と顔には特に多くの毛細血管が通っているので、血行不良の影響が出やすいのです。
また、衣服でおおわれていない部分なので、日頃から乾燥や紫外線などの刺激にさらされる部位でもあります。
栄養が行き渡らなくなると、強くて健康な細胞の生成ができなくなります。
そのため外からの刺激に負けてしまい、その影響が手荒れや肌荒れとなって出てしまうのです。
特に手だけがひどく荒れて何をしても良くならないという方は、ビタミンEと一緒に、タンパク質、ビタミンC、ビタミンB群もとることで改善が期待できます。
手荒れが長期的につづいている場合は治るのにも時間がかかります。根気よく続けましょう。
脳卒中などの循環器系疾患
血管の中が慢性的にドロドロしていると、太い血管も詰まってしまうことがあります。悪玉コレステロール値が高い方は、より大きな血栓ができやすいです。血管が詰まることによって酸素が行きわたらなくなると細胞が死んでしまいます。脳内や心臓でおこった場合にはと命に関わります。
また、血管がつまると血圧が上がり、血管が破裂するリスクも上がります。
ビタミンEを効率よく摂るには?
ビタミンEが本領を発揮するには、ビタミンEの働きを助ける他の栄養素を一緒にとることが大切です。また、良くない生活習慣を改善することで、よりその効果を高めることができます。
ビタミンEを消費してしまう生活習慣
ビタミンEを消費してしまう生活習慣を減らすことで、より健康効果を上げることができます。
【喫煙】
喫煙はビタミンEを消耗する生活習慣です。
喫煙によってできた活性酸素を不活性化するためにビタミンEが消耗されてしまいます。
喫煙は冷え性や頭痛の原因にもなります。
タバコをやめるのが一番いいのですが、どうしてもやめられないという方いるかと思います。
ビタミンEとビタミンEを助ける栄養素を積極的に摂り、少しでも健康被害を抑えましょう。
【揚げ物を良くたべる】
揚げ物がすべて良くない訳ではありません。問題はどんな油が使われているかです。
売られている揚げ物の中には、体に良くない油を使っているものもあります。
原材料費をおさえて安く売るために、油を使いまわしたりつぎ足したりして、酸化した真っ黒な油で揚げた物を出している店もあります。
この「体に良くない油」を口にすることで、ビタミンEが消費されてしまうのです。
揚げ物を食べるときには良い油を使っているものを選んで食べましょう。
ビタミンEの働きを助ける栄養素
ビタミンEは他の栄養素とチームプレーをするビタミンです。
他の栄養素とバランス良く摂ることでよりその抗酸化力を発揮できます。
【タンパク質】
ビタミンEは単体では体に吸収されません。そこで活躍するのがタンパク質です。
タンパク質はビタミンEと結びついて吸収しやすい状態にします。
タンパク質が不足していると吸収されずにからだの外に出てしまいす。
吸収効率を上げるコツ
タンパク質とビタミンEを同じタイミングで口にすることです。
タンパク質を含む食品には、肉、魚、卵、大豆食品などがあります。
【ビタミンC】
ビタミンEにはすぐれた抗酸化力がありますが、活性酸素と結びつくと自らが酸化します。
酸化するとその力を失ってしまいますが、ビタミンCがあれば復活します。
ビタミンEがキャッチした活性酸素を、ビタミンCが受け取って体の外に出してくれるのです。
ビタミンEの抗酸化力を高めるには、ビタミンCも不足しないようにすることが大切です。
ビタミンCは体の中に溜めておくということができません。
大量に摂取しても吸収できずに余ってしまったものは2〜3時間で尿に混ざって体の外に出てしまいます。
一日に数回こまめにとって不足しないようにしましょう。
ビタミンCを多く含む食品
パプリカ、ピーマン、ケール、ブロッコリーなどがあり、食後に果物を食べるのも効果的です。
【フィトケミカル】
フィトケミカルとは植物に含まれる色・匂い・味を作る成分のことです。
リコピンやカテキン、ポリフェノールなどは有名なので、どなたでも聞いたことがあるかと思います。
フィトケミカルには抗酸化作用と解毒作用があり、あらゆるビタミンやミネラルが効率よく働けるようにサポートします。
ビタミンEに対しては、ビタミンCと同じ作用もあれば、活性酸素自体を減らして、ビタミンEの仕事を軽減するというサポートもします。
フィトケミカルはあらゆる野菜や果物に入っているため手軽に摂取することができます。
フィトケミカルを多く含む食品
りんご、ワイン、ブロッコリー、青パパイヤなどがあります。
薬味に使われる香りの強い根菜類や、きのこ類にも多くふくまれています。
サプリメントを摂るのであれば、このフィトケミカルを含むものを摂ることをおすすめします。
栄養の吸収効率がちがいます。
フィトケミカルが入っているかどうかを見分けるポイントは天然の材料を「濃縮して」作っているかどうかです。
濃縮ではないサプリメントは科学合成したビタミンが多く、ビタミンがその本領を発揮しづらいからです。
摂り過ぎは良くない?適正量は?
性別と年齢別の一日あたりの摂取量の目安は下記のとおりです。
成人男性 7mg
成人女性 6.5mg
上限量 800mg
最近では健康意識が高まり、サプリメントで栄養を取る方も増えていますが、サプリメントでとる場合には過剰症に注意する必要があります。
過剰症とは栄養をとりすぎたことが原因で、体が不調を引き起こしてしまう症状のことを言います。
尿となって体の外に出やすい水溶性ビタミンと違い、脂溶性ビタミンは体内に留まりやすいため、過剰症に注意する必要があります。
ビタミンEは過剰症によって骨粗鬆症のリスクが高まりますが、摂りすぎた分を体の外に出す仕組みがあります。
サプリメントで大量摂取するなどして上限量を上回らない限りは大丈夫です。
ビタミンEを多く含む食材といえばアーモンドが有名ですが、上限量を上回るには2580gも食べなくてはなりません。
普通の食事からとっている分には過剰症になる心配はまずないでしょう。
ビタミンEが豊富な食材
ビタミンEを豊富に含む食材を紹介します。
アーモンド
アーモンドには血中コレステロール値を改善してくれるオレイン酸も入っています。
カロリーが高いので食べ過ぎに注意しましょう。
ひまわり油
ビタミンEのほかにオレイン酸をはじめとする血中コレステロール値を調整する成分が含まれています。
カロリーが高いので料理に使う程度が丁度良いでしょう。
とうがらし
カプサイシンという脂肪の燃焼を促進する成分も含まれています。
カプサイシンはとりすぎるとお腹を壊すこともあるので気を付けましょう。
抹茶などの茶葉類
茶葉類にはビタミンEの抗酸化作用をより強力にするカテキンが含まれています。
カテキンには血糖値の上昇をゆるやかにする働きもあるので、食事と一緒にお茶を飲むのもおすすめです。
魚卵
特にビタミンE量が多いのはすじこです。
魚卵は塩辛く味付けされていてコレステロールも多いので、塩分やカロリーのとりすぎに注意して食べましょう。
手軽に食生活に取り入れやすい物も多いので、意識してとってみてはいかがでしょうか。
まとめ
ビタミンEは若返りのビタミンとも呼ばれておりアンチエイジングには欠かせません。
病気のリスクも下げつつ若返りが期待できる素晴らしい栄養素です。
他の栄養も一緒にバランス良くとり、運動もすることでよりその効果が期待できます。
健康な体は一朝一夕で作れるものではなくゴールもありません。生活習慣を見直して日々継続していきましょう。